簡単に英語のライティングが上達する方法

釣り気味のタイトルですが,結論から言うとそんな方法は存在しません.あえて指摘するなら1点だけ,費用対効果が高く意識した方が良いと思うのは,英語の「形」についてです.今回は「きちんとした形の文章を書くこと」についての所感を述べたいと思います.

「英語の読み書きはできるけど,話したり聞いたりは苦手」とか「日本の英語教育は読み書き偏重」と言う人がいます.でも私はそれは現状認識が甘く、英語を書ける日本人は少ないと思います.日本語でだって破綻のない2段落以上の文章をサクサク書ける人はどれくらいいるのでしょうか.私はできません.今回こんな文章を書いたのに,誤字や話の破綻があったら恥ずかしいので,何度も読み直しています.[ref]私は蘊蓄を書いたり話したりが好きなんですが,まとまった文章をブログに書くのは,考えながら構成をしていく良い練習になります.時間がかかるのが難点で,今回のエントリには2時間くらいかかりましたが,1エントリで大体4ー5時間くらいかかるものもあります.やる気の波が来たり去ったりしますので,いつまで続くかわかりませんが,その時何を考えていたかを残す良い記録でもありますし,細々と続けたいと思うのですが.[/ref] ましてや外国語ならどうでしょうか。

最近は Twitter や Facebook などで,色んな人が気軽に文章を公開するようになりました.インターネットの短文の中にさえも,漢字の変換ミス,文中の主語と述語の非対応など,ケアレスミスを見かけます.一気に書いて推敲なしで美しい文章になることはあり得ないと思います.誤りや違和感のある文章を避けるためには,読みなおして修正するかどうかに尽きます.そのように「一手間かけて形を整える」べきかは,文章を出す場面によりますが,私は推敲して修正するクセをつけると得することが多いと思います.

とりわけ外国語の場合はこのような確認が甘くなりがちです.見た目に違和感がある,つまりは内容以前の問題で形がおかしい文章が多いと思いますが,そこで「内容を見てくれよ」とひらきなおらず,最低限の形を整えることを妥協しないでおこうというのが今回の主張です.

とりわけ最近は自分の仕事においての「書く」ことの重要性がどんどん上がってきました.仕事の内容も変わってきて,人の書いた文章を読むことも増えてきています.人の書いた文章を読んでて自分の書き方の不備に気付くことは多く,自分が完全とは程遠いとわかります.他人の書いた文章をたくさん見ていると,書きものには異なるレベルで注意する点があると思います.例えば下記のようなことです.

      • 単語のスペル(英語)
      • 漢字の変換(日本語)
      • 句読点の使い方(日本語)
      • カンマ,ピリオド,セミコロン,ハイフンの使い方(英語)
    1. 表現
      • 前置詞(英語)
      • 冠詞(英語)
      • 動詞(英語)
      • ことわざ,成句・四字熟語(日本語)
    2. 論理
      • 文章理解に必要な情報は与えられているか
      • 正しい順番で書いているか
      • 明確な要旨が伝わるか
    3. 内容
      • 文章の内容そのものを理解しているか

箇条書きにしたのは,それぞれのカテゴリの注意事項の例です.便宜的に4つのレベルに分けてみましたが,言語依存の度合いは(1,2)>(3)>(4)の順番かと思います.世の中には様々な人がいて(3)と(4)の能力が秀でているものの,(1)と(2)が足りないために,優秀に見えない人がいます。私の憧れは(3)と(4)に秀でることで,最も向上のため時間と努力を要するのは(4)だろうと思います.逆に(1)は比較的簡単に身に付くと思います.しかし(1)ができていない英語の書き手が非常に多いと思います.苦手なのは日本人に限りません.

「グローバル人材は会話力やプレゼン力が大事である」と信じるのは、それはそれで良いんですが,もちろんそれだけではありません.少し毒づきますと,短期留学して箔をつけた人が帰国して,「現地のお店で注文が上手くできなかった」などの壮大な(しかし限定的な)原体験を元に「日本の読み書き偏重教育は意味がない」と言うのは誤解を招くと思います.生活をして仕事をするにはスタバの注文以上に大事なことがあって,きちんとした形の英語を書けることは必須です.「読み書き偏重には意味がない!」などと意気込むグローバル教の信者に煽られずに,きちんと「書ける」人が増えることを,私は願っています.

本題に入ります。(1)は内容,表現,論理とは全く関係なく、その文章が印刷された紙をさらっと眺めて,◯◯語で書かれた文章に見えるかということです.話し言葉には現れませんから,昨今の教育では軽視されがちかもしれませんが,(1)ができないと損をします.例えば英語を母国語としない人から届く「雇ってもらえませんか」というメールを見ると,「表現はおかしいのはしょうがないけど,きちんとした形で文章を書いてくれないかなあ」と思うことが少なくありません.

例えば,カンマやピリオドの後のスペース,カッコの前後のスペースが入ってない文章は美しくありません.日本語話者はこれができていない人が多いです.無粋な指摘ですが(固有名詞なので意図的かもしれませんが)Mr.Children のピリオドの後には,1つか2つ分のスペースが入るのが一般的な英語の表記になります.[ref]日本語話者が書くピリオドについて、個人的な仮説ですが,これは Word などの書類作成ソフトのピリオドのフォントのデザインのため,スペースを空けてなくても1マス空いてるように見えるのが遠因ではないかと思います.等幅フォントに変更すると,見栄えがおかしくなるのがわかります.[/ref] 段落ごとではなくて,毎文改行している文章も同様に醜いでしょう.携帯小説のようで聡明な印象は与えません.高校生ならともかく,仕事があるか尋ねるメールで使うべきではありません.他にも,文章の中でフォントが混ざるとコピペしたとわかりますし,全角と半角が一貫してないような文章は気持ち悪く感じます.

受取人が普段使わないフォント(明朝体のアルファベットなど)を使用した場合,普段とメールの見た感じが違うために違和感を与えます.例えば日本人が「中国語ベースの日本語漢字フォント」を日本でのビジネス文章で使うかと言われれば,違和感があるかは明白でしょう.自分ならば Email はともかく,ホームページを作ったり,英文の広告を出すときなどは,明朝体やゴシック体の半角を使用するのは避けます.受け手が見慣れず読みづらいからです.

全てちょっとした手間と慣れで変更できることです.私は外国人としての生活が長く,英語ができない大変さを未だに身を持って理解していますので,英語が得意でない人に対する寛容さがある方だと思います.それでも,「そもそも成熟した大人が書く英語の文章に見えない」メールを受けると,内容を読む前から「英語ができない人」「細かいことに気をつけない人」という印象を持ちます.その段階で内容を1文字も読んでおらず,文章を遠目に眺めただけです.ちなみに私は下っ端なので,自分に届いたメールのほとんどに目を通しますが,毎日数通の雇用希望のメールが来るような人ならば,メールを軽く眺めて不採用と判断するのではないでしょうか.

おそらく他の言語でも同じです.アラビア語の文章は右寄せになっていると思うのですが,文章が左寄せになっていたら,その時点でおかしいと思われます.日本語の横書き文章で,文章が右から左に書かれているようなことがあれば,日本人ならば違和感を感じるでしょう.私が気になるのは英語力以前のそのような「形式」の話です.知らない人から頻繁にメールを受けるようになって,簡単なことにも気を配らない人が多いと感じます.とてももったいないことです.

上記の分け方で言うと(2)は比較的長い間,その言語を学ばないと獲得できないものです.(3)と(4)はそもそもの話の組み立て方,知識,考え方の話なので,「外国語」とあまり関係ありません.(3)は慣れやテクニックもあるでしょうが,(4)は最も習得に時間がかかるでしょう.それらに比べれば(1)など表層的で,ただ知ってるか知らないかの話です.意識していたら1年程度で慣れるのではないでしょうか.帰国子女の友人が日系の会社に入って,ビジネスメールの書き方に慣れるのに1年かかったそうです.とはいえたった1年です.メールの最初に「お世話になっています」という文字列が入る「形」を知っているかということでしょう.

本来なら(1)や(2)は些末なことで,物事は(4),つまり実際の内容で判断されるべきだと思っています.とはいえ,書かれた文章を読む側も時間に余裕がないこともあるでしょう.文章の内容を判断する前に偏見は持つし,読む気を失うこともあるのも現実です.Email の場合,意識しているかどうかに関わらず,差出者の名前のスペルが見慣れない場合,この人は〇〇人だ,外国人で〇〇語が下手そうだ,という先入観を与えるかもしれません.その先入観が良いことかは別の問題ですが,もしそうなってしまった場合,相手の先入観を裏付けるような些細なミスは避けた方が賢明なのではないでしょうか.

私からの提案ですが、少なくとも(1)に入るような項目については,意識的に9割以上の完成度を目指したらどうでしょう.この程度の努力で「いい加減そう」とか「英語を使えなさそう」という第一印象を避けられるのなら,その方が得ではありませんか.慣れれば時間がかかるものではありませんから,ぜひ気にかけて欲しいと思います.

ちなみにこんなことをわざわざ書こうと思ったのは,先日見た日本の某研究所の外国人研究員の公募の英文がまさにそんな感じだったというのが理由でした.(フォント,カンマの後のスペースなど.)簡単な形式の不備ですが,簡単だからこそ誰かが気付いて直せばいいと思いました.良い研究所だからこそなおさらです.

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